日本体験 外国体験 Experiences in different cultures
space
| 38 ジェイソン | 戻る back <<

ジェイソン・クイグリーさん

日本人の勘違い


by Jason F. Quigley (カナダ、団体職員)

 ある日僕は電車の中で英語の本を読んでいた。すると突然僕の前に立っていた若い男の人が「この英語どう読むのか教えてください」と英語の雑誌(?)を僕の目の前に突きだした。僕はびっくりした。何て失礼な奴だろうとムッとして「僕は英語がわかりません」と言った。彼はびっくりしたようだったが何も言わなかった。

 帰宅してそのことを妻に話したら「ジェイスン、失礼よ」と言う。相手の男ではなく、僕の態度が失礼だというのだ。妻は日本人だ。僕は相手が失礼なのではないかと不思議に思った。

 日本ではたまにこういうことに出会う。僕らを英語の練習に使おうというような人がいるのだ。イギリス人の友人がいる。ときどき誘われて飲みに行ったりするのだが、彼が連れてくる日本人が何かというと「英語でどういうの」と聞いてくる。せっかく楽しく話しているのに台無しだ。

 また、日本で英語が話せる人が、話せない人を無能のように扱うのをたびたび見てきた。英語が話せないからといって、ほかのこともできないというわけではない。けれども英語がぺらぺらな人の中には、勘違いしているのではないかと思われる人がいる。

 あるとき英語と日本語のスピーチコンテストを一緒にすることになった。その相談をしているときに、英語ぺらぺら族が「彼らは英語ができないんだから・・・」と日本語のスピーチをする人たちを仲間内で馬鹿にしている。そんな言葉を何度も聞いて僕は嫌になってしまった。コンテストをどう進めるかを話し合っているのに。

 日本で英語が上手な人は10%ぐらいしかいないと思う。もし僕が日本語が話せなかったらその人たちだけとしか付き合えず、日本人の本当のことがわからなかったと思う。日本語が話せるようになって初めて、いろいろ面白い日本人とも知り合うことができるようになったのである。(談)
〈2006年02月〉